マドモアゼルいくこのケーキと世界感

" かつて、1970〜1980年代に、マドモアゼルいくこさんという料理本を出版していた女性がいました。
その当時でも珍しく写真が全くなく、美術大学出身の著者が描いたイラストのみという、エッセイとお菓子のレシピが一緒になっている本でした。
その世界観は、現在ではよく雑誌に取り上げられて知られているハイソな生活感がかなりありました。
日本ではまだ知っている人も稀な、ヨーグルトポムポムやジャガイモのケーキという、海外の変わったケーキを次々と紹介していました。

 

 ゼリーやケーキにスミレの花を飾るという、ロマンチックなアイデアは、今ではパティシエの話題で周知の人は多いですが、
かつての日本の庶民には、測り知れないほど遠い世界のことでもありました。
まだ垢抜けない子供だった私は、単に面白い読み物として読み、たまにお菓子を作っては失敗してばかりいました。

 

 そのマドモアゼルいくこさんの本は、今では神本とされているそうです。
とっておけばよかった…。
でもそれくらい手にした本でもあり、いまでも懐かしむ声が多いのも解ります。
パティシエによるレシピ本であったら、ここまでの郷愁はなかったろうと思います。
いくこさんのレシピでつくる、ヨーグルトポムポムやジャガイモのケーキは特別なものなのです。
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